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小回りコース、多頭数、発走地点から最初のコーナーまで1ハロンもない(約170メートル)という悪条件下の中での戦いである。
有利なはずの内枠も、ダッシュがつかないと包まれてしまい、一転して最悪の枠になる。
外枠は外枠での成果があったからだと思う。
最近ではオグリキャップが有馬記念時、一週前に中山で追い切りを含めたスクーリングを行っている。
レースではタマモクロスと僅差(姥馬身)の勝負だっただけに、スクーリングをやっていなければ、あるいは着順がひっくり返っていたかもしれないくらいに思っている。
近々、スルーオダイナが天皇賞の舞台、京都競馬場に行ってスクーリングをするそうだ。
彼にとって京都コースは2年半ぶりになる。
効果は大きいことだろう。
(3月28日)13分も遅れての発走になった。
日本の競馬は外国に比べてただでさえ馬場入りから発走までが遅い。
そこに大幅な遅れ。
おまけに雨降り、ドロンコ馬場でもあり最悪の条件下だった。
こうした経験からアメリカのゲート・ボーイというシステムが非常に合理的で大切なものと感じる。
だが、それ以上に気にかけているのがゲートである。
4歳春の牝馬は非常にデリケートだ。
それが18頭も出走するのである。
全馬のスムーズなゲート入りを望むのはむずかしい。
ゲート入りは馬にとって非常にプレッシャーがかかるものなのだ。
桜花賞には大変イヤな思い出がある。
昭和58年、シャダイソフィアが優勝した年だ。
この時は今よりフルゲートが4頭多く、22頭立て。
ボクはサーペンスールで出場した(12着)が、ファンファーレが3回も鳴る前代未聞の事態になった。
まず発走前にメジロハイネが突進してゲートから出てしまい、M騎手を振り落として放馬。
ゲート入りはやり直しになり、今度はダイナカールがダダをこねた(彼女は一度目も手こずらせた)。
おまけにプロメイドが不貞腐れるのである。
アメリカは短距離が主体だから、どの国よりもスタートが重視されるのだと思う。
アメリカのレースでは、ゲート内の上部に1頭につき1人ずつの係員が馬の出て行くまでつき添うシステムになっている。
そのシーンをテレビでみた人も多いだろう。
このゲート・ボーイの存在が馬にとっては大きな頼りになるのだ。
騎手一人では馬の気持ちを静めるのはなかなかむずかしい。
ところが、ゲート・ボーイがついていれば、暴れないように馬をおさえてくれるし、馬の扱いにも厩舎人同様たけているので、馬もプレッシャーをしばし忘れて安心するのだ。
しかも、4肢のバランスを悪くして立っている馬には脚の並びを整えてもくれる。
結果、スムーズな発走につながり、馬もよけいなところでエネルギーを発散することなく、持てる力をフルに発揮できるのだ。
ボクは、こうしたゲート・ボーイによる発馬システムを日本でも導入してほしいと思っている。
皐月賞にボクはアンシストリーで出場する。
1枚抜けていると思っていたサクラホクトオーの弥生賞敗退により、アンシストリーにもチャンスが出てきたのは確か。
皐月賞というレースと、アンシストリーをテーマに話を進めよう。
皐月賞は最も完成が早い馬、ダービーは最も運が強い馬、菊花賞は最も強い馬が勝つといわれる。
本場・英国の3冠レースへのたとえをそのまま日本の3冠にあてはめたものと聞いている。
確かにそんな感じはある。
ボクはシンボリルドルフ(昭和59年)、ダイナコスモス(61年)で皐月賞を二度勝っており、実際、この2頭はかなり完成していた。
もっともルドルフはその後もずいぶん成長したが。
今年のアンシストリーは、まだ子供っぽい面が残っているが、それでも全体を見渡すと完成途上の馬が多いようなので、条件は5分という感じだ。
今、勢いがあるマルゼンスキー産駒である。
マルゼンスキーに騎乗したことはないが、現役時代に受けた印象は、闘志を激しく燃やしてレースを進め、距離は1600〜1800メートルがベストのタイプだということ。
だからなのだろう、産駒には一本気なタイプが多い。
思う通りのレースができると強い半面、それができないとモロく、いい結果が出ない。
その点、アンシストリーにはマルゼンスキーの弱点がない。
意のままになりやすいのが強味なのだ。
弥生賞では他の馬に寄せられて、一度は最後方に下がりながら再び盛り返して3着。
なかなかできない芸当だ。
それも道悪でのこと。
一本義の性格では出来ないレースぶりだ。
騎手の意のままになる馬ならではといっていい。
そしてこういうタイプは距離を幅広くこなせる。
レースは生き物。
思うようにスムーズなレースは望みにくい。
道中不利があったら、サッと作戦を切り替えなければならない。
そんな時、機敏に反応してくれるタイプを意のままになりやすいという。
それをパーフェクトに出来たのがルドルフである。
彼はまさにプロフェッショナルのレースホースだったといっていいだろう。
ルドルフの域まで望むのは酷とはいえ、アンシストリーにもプロフェッショナルの部分を感じだ。
昨年の京王杯スプリングCをボクはダイナアクトレスで勝っている。
アタマ差2着に下したのが牡馬一線級のニッポーテイオーだった。
それ以外でもアクトレスは牡馬顔負けの活躍をした。
そこで女傑をテーマに話を進めよう。
男女が混合で戦う競技はほとんどない。
その点、競馬はユニークといえるだろうが、総体的に取ることができる。
小回り中山コースの多頭数ということにも触れておこう。
位置取りにはかなり気をつかわなければならない。
ラチとライバル馬に挟まれるような形になると、馬にプレッシャーがかかる場合がある。
といって、あまりコースを外にとると今度は距離のロスが出てくる。
1周1600メートルのコースが一般的なアメリカでは、外を回りすぎたという理由だけで、一流騎手でも降ろされてしまうほどの厳しさがある。
外を回ってくるのが、どれほど不利益なことか、象徴していると思う。
その点には日ごろから神経質になっている。
皐月賞でもそれを肝に銘じて乗るつもりである。
アメリカでは一部のステークスを除けば、牡馬と牝馬ははっきりレースが分かれる。
ヨーロッパはアメリカほどではないにしろ、牝馬限定戦は日本以上に用意されている。
ところが欧米では混合戦でも、牝馬がよく活躍するのだ。
昨年のケンタッキー・ダービーを勝ったのは牝馬のウイニングカラーズだった。
ヨーロッパはもっとすごい。
トリプティク、ミエスク、ちょっと前はアレフランス、ダーリア。
彼女たちは牡馬一線級をこともなげに打ちのめした。
ヨーロッパの中でも今挙げた4頭がそうであるように、特にフランスの牝馬は強いようだ。
通常、牝馬は牡馬に比べ負担重量が2キロ軽くなる。
例えば天皇賞では牡58キロ、牝56キロといった具合だ。
対して欧米では3ポンド(1・36キロ)、もしくは1・5キロ差と開きが少なくなり、フランスでは最近、同斤にしようという話まで持ち上がったという。
日本より不利な条件なのに、なぜ外国ではしばしば強い牝馬が出現するのか。
まず、日本では牝馬の調教を軽くする傾向があるが、欧米ではそんなことはないようだ。
牝馬は牡馬に比べデリケートなのは確かで、扱いに注意がより必要になるが、それと調教を軽くするのとは別次元の問題だと思う。
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